小児眼科について
お子さまの視力について
人の目の視力は6~7歳で完成されると言われています。この時期までにしっかりと見える状態にしておかないと、その後の視力が育ちにくく、視覚障害が起こる可能性があります。
「見えにくさの発見ポイント」は?
- 目を細めたり、顔をしかめたりして見る
- 極端に目を近づけて見る
- 目の大きさに左右差がある
- よく転び、ぶつかる
- 視線がそれている
- 瞬きが多い
- 顔を傾けて見る
- 漢字を書いたり読んだりするのが苦手
- 細かいメモリや地図の読み取りが苦手
等があげられます。
小さなお子さまは症状を伝えることが難しいため、保護者の方が日ごろから気にかけてあげましょう。
また、自分の見え方が当たり前で自分から「見えにくい」とはなかなか言わない場合もあります。「見えにくさの発見ポイント」を参考にし、少しでも気になることがあれば早めの受診をお勧めします。
症状や状態に合わせて詳細に検査をし、必要な治療や訓練を行います。
また、必要に応じて見え方や生活の事など相談出来る機関をご紹介します。
視能訓練士と一緒に
視能訓練士は小児の弱視や斜視の視能矯正や視機能の検査を行う、国家資格を持つ専門技術職です。当院には4名の視能訓練士が在籍しています。
視機能のスペシャリストとして、専門的な検査、訓練などを行い大切な目の健康を守るお手伝いをしています。
弱視
弱視とは
弱視とは、眼そのものには疾患はないが、眼鏡やコンタクトレンズをしても視力が出ない状態をいいます。 小児の視力は生後より発達し、9歳ごろで止まります。
この発達の時期に、強い遠視や乱視、斜視等をそのままにしてしまうと、視力の発達が抑えられ弱視となります。 弱視は早期に発見・治療を行う事で、視力が上がる確率が高くなります。
1歳半検診や、3歳児検診、就学前検診で異常を指摘されたら、早めの受診をお願いします。
弱視診断まで
- 視力・屈折検査・固視検査
- 両眼視機能検査
- 眼位検査・眼球運動検査
- 眼底検査
弱視の治療
- 調節麻痺薬(目薬)を用いて眼鏡度数の決定
- 左右の視力に左右差があれば、良い眼をアイパッチで隠して遮蔽治療
- 弱視訓練
斜視
斜視とは?
両眼の視線が同じ方向に向かない状態を斜視と言います。
片目は「目標物」を見て、もう片方の目は「違う方向」を見ている状態です。
- 小児は視覚の発達期にあり、この時期に斜視があると弱視になったり、左右それぞれの目で見た像を脳で一つの物の見える能力(両眼視)が育たなかったりします。
- 尚、赤ちゃんは鼻の根元が低くて広いため、あたかも内斜視のように見えることがあります。本当に斜視があるわけではないので、これを偽斜視と言います。
- 成人では糖尿病、高血圧、脳の異常や頭の怪我などによって急に斜視が起こることがあります。その場合は物が二重にダブって見えることがあります。
内斜視
右眼か左眼のどちらか、あるいは両眼とも視線が内側に向いている状態です。
外斜視
右眼か左眼のどちらかの視線が外側に向いている状態です。
上下斜視
右眼か左眼のどちらかの視線が上か下に向いている状態です。
外まわしズレや内まわしズレ(回旋斜視)や内斜視、外斜視に合併することが多いです。
眼球を動かす筋肉や脳神経、視力の異常、両眼視機能の異常でおこります。
小児では頭を傾けたり、顔を回したり、顎を上げたり下げたりして(頭位異常)、物を見ようとします。
大人になると物が二つに見えることが主な症状となります。
斜視の治療目的
まず一番大切なことは両眼の視力を良くすることです。
斜視になっている方の眼が弱視になっていることがあり、改善してあげることが斜視治療の第一歩です。
次に眼の位置を真っすぐにしてあげることです。眼鏡を使用するだけで真っすぐになることも有りますが、場合によっては手術を必要とします。
最後に、両眼で物を見る力(両眼視)を獲得することです。斜視の程度・種類によっては早期から、きちんと治療を行っていても両眼視の獲得が難しいことがあります。
※斜視の種類や年齢に応じて治療法も異なります。